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一般教養とは何か。

category : その他 2010.2.16 

一般教養、語源はラテン語のArtes Liberales。これはもともと中世ヨーロッパで大学が勃興し始めた頃、学問を志す者として当然学ぶべき素養を習得するための科目でした。当時はこれらの科目は七つに大別されていたことから自由七学芸ともいいます。

この当時の学問とは主に医学、哲学、法学、そして神学でした。これらの学問を学ぶためにはその基礎となるべきものが必要であり、そうした体系を形作るものとしてArtes Liberalesが存在していたのです。これが現在でも引き継がれているわけです。

このArtes Liberalesは決して一朝一夕で身につくような浅薄なものではありません。そこで、ある程度の期間を設けてこれを習得することが求められていました。それが現代で言う学士課程です。この学士とは専門性とは切り離されたものです。学士とは英語ではBachelor of Artsですが、ここで使われているArtsとはラテン語のArtesであり、すなわち一般教養としての学芸です。欧米では現代でもこの価値観が存続しており、Undergraduateと呼ばれる学士課程では専門学部に分かれることなく一般教養を学びます。そしてそれを経た上で初めて専門を学ぶことができるわけです。というのもそうした一般教養が身についていない限り学者とは到底見なせないというのが基本的な発想だからです。そうした専門的課程を修了した人に付与される学位が博士号です。この博士号はPh.Dと呼ばれます。これも元はラテン語で、Philosopiae Doctorです。英語で言うところのDoctor of Philosophyです。ここでのPhilosophyとは哲学というより愛知、すなわち知識を愛する行為そのものを指します。つまり、知識というものを総体的に獲得した人物を以てしてPh.Dとするのです。これは日本語に置き換えても共通しています。博士とは専門的に過ぎる人ではなく、博く知識を有している人の総称だからです。

ところが日本の大学ではこの基本となるべきArtes Liberalesが軽視され、大学に入学するとすぐに専門的な勉強が強いられます。一部の大学ではこのArtes Liberalesに注力していますが、それらは例外ともいえるほど少数です。ですがArtes Liberalesの重要性は実は限りなく高いのです。法学を学ぶ上で哲学が必須であることはグロティウスなどの議論からも明かでしょう。哲学を学ぶには自然科学の素養が求められます。そして自然科学を学ぶには数学が必要であり、数学を学ぶには形而上学の議論が不可欠です。このように学問とは緻密な相関性の上に成立しており、それらのどれ一つを無視しても完遂されることはありません。現代の大学ではこうしたことに目を背け、実利的な教育に主眼が置かれています。もちろんそれはそれで否定されるべき事ではありません。けれども、それはあくまで対症的な戦略であり、学問の本質とは程遠いのです。

そして更に重大なことはArtes LiberalesとはLiberalesという言葉が示す通り(英語ではof Liberality)、自由の学芸ということです。専門的であることはある次元における拘束を意味します。幅広い素養がないままに専門性を身につけることは自らの思考の柔軟性を剥奪することになります。そうした状況を回避する上でもこのArtes Liberalesは必要なのです。それは自らの視界を明瞭に拡大することに繋がるのです。

posted by マツダ


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